あのね…

「ラッキーおやすみ!!」
「はい、ちゃんと布団掛けて寝てよね…風邪引くわよ」

二人で仲良く布団に潜り込みました。
今日外で干したばかりで、とってもいい匂いがしています。
すると…。

「…ラッキー、ちょっといい?」
「何かしら」
「誰にも言わない?」
「言わない、って…言う人なんて居ないわよ」
「ほんとに?」
「なんか悪いことでもしたのかしら」

アリスがもじもじした様子で呟きました。

「あのね…実はね」
「うん」
「…好きな男の子ができたの」
「!!」

その瞬間ラッキーは一気に目が覚めました。
いつ、どこで、どうやって…?と頭がぐるぐるしています。
アリスは恥ずかしそうにしています。

「い、いつからなの?」
「結構前から…かも」
「…そう」

どうせ皿でも割って黙ってたんでしょ、と思っていたところでした。
まさか突然こんな話をされるとは予想していません。
ラッキーはどう回答したら良いのか困っているようです。

「…で、何の相談なのかしら」
「その子と結婚したいって話?」
「ちがうよ」
「…でもね、一緒にいると楽しくて幸せな気持ちになるんだよ」
「…そう」

頭の中で色んな考えが渦巻いています。
その子と一緒に住みたいとか言わないか?
出会ってヘンなことしてないだろうか?
ラッキーも会って欲しいとか言ってきたら?
ますます目が冴えてきます。

「ま、良いんじゃないの…成長したのね」
「ラッキーかなしい?」
「それは…その…」
「…なんかごめんね」
「そんな謝る必要無いわよ」
「だって、突然こんなの聞いたらそうなるもんね」

ラッキーがアリスの顔を見つめています。
どこか悲しそうなのが見て取れます。
すると…

「なーんて、嘘でした~!!」
「…は?」
「ラッキー騙されたでしょ~」

頭が混乱しています。
恥ずかしくなってこう言ったのか、本当に嘘なのか。
ラッキーの目がかつてないほどにまんまるになっています。

「…あの、本当に嘘なのよね?」
「嘘に決まってるじゃん、好きな男の子なんて居ないよ?」
「…本当に本当に嘘なのよね?」
「しつこいなあ、本当になっちゃったらどうするの!!」
「…」

ラッキーが呆れています。
普段バカにしてばかりなので、真面目な相談を持ちかけられることが稀なのです。
アリスはご満悦といった様子です。

「ラッキー悲しそうだったね」
「当たり前じゃないの、あなたがヘンな男と絡んでるの想像しただけで嫌になるわ」
「はい、じゃあ寝るよ!!」
「…あのねえ」

ラッキーがぼそぼそと小言を言ったあと、二人は眠りに就きました。
嘘で本当に良かった、と心から思ったようです。
アリスはちょっとだけ反省したみたいです。


そしてあっという間に朝になりました。
いつものようにラッキーが先に起きて、窓際の定位置でぼーっとしています。
アリスはぐっすり夢の中です。

「昨日のは完全に騙されたわ」
「あの子いつの間にあんな演技身につけたのかしら」
「…いつか絶対仕返ししてやるんだから」

すると…

「…わぁ!!」
「!?」

アリスが変な声を出して飛び起きました。
もちろんラッキーは驚いています。

「…あ、あれ?」
「あの…おはようアリス」
「…夢?」
「何、また変な夢見てたのかしら」
「ラッキーだよね?」
「当たり前じゃない」
「出て行ってないよね?」
「当たり前じゃない」
「…よかったぁ」

しばらくしてアリスが泣き出しました。
やれやれ、と思いつつラッキーが向かいます。

「…今度はどんな夢見たのよ」
「ぐすっ、えっとね、ラッキーが結婚しておうちから出ていく夢…」
「…はぁ、到底ありえない内容だけど」
「夜に一人ぼっちになってね、寂しかったんだよ…ひっく」
「はいはい、悪い夢はさっさと忘れなさい」
「…どこにも行かないよね?」
「当たり前よ、そんなことしたらご飯に困るわ」

ラッキーが泣いているアリスの顔をペロっと舐めました。
少しだけ笑ってくれて安心したようです。

「昨日あなたがあんなこと言うから、そのお返しってことね」
「夢に出てくるなんでずるいもん…」
「それよりほら、今日はすっごく良い天気よ」
「どこか行きましょうよ」
「…うん!!」

今日も二人は仲良しです。