今日は晴れ。
暑くもないし、寒くもないお天気で外にお出かけするにはぴったりです。
ここ数日天気が悪く、二人でずっと家に居たので朝からアリスはもちろんわくわくしています。
一方のラッキーは眠そうな目をして布団の上でもぞもぞ動いてます。
「ラッキー、見て!」
「すっごくいい天気だよ、昨日まで雨だったのに!」
「…あなたはなんでそんなに元気なの」
「え~、まだ若いからじゃない?」
ラッキーはまだ眠っていたいようで、アリスの相手をやめて布団にくるまってしまいました。
「もう、ラッキーだって若いくせに!」
「どうでもいいわ…おやすみ」
「だめだよ、お出かけしようよ」
「一人で行ってきたらどうなの…」
どうしてもラッキーはまだ寝ていたいようです。
でもアリスは、どうしてもラッキーとお出かけしたいようです。
「むにゃ…寝かせて頂戴…」
「あ、そういえば」
突然、アリスが机の引き出しを漁りはじめました。
ラッキーはすっかり夢の中です。
そんなのお構い無しと言った様子でごそごそと物音が聞こえてきます。
「…あった!」
アリスが探していたのは使い捨てカメラでした。
先月買って何枚か撮ったきり、飽きて机にしまっていたのを思い出したのです。

「ラッキー、見て…」
布団にくるまってすやすや眠っている様子を見て口をつぐみました。
「…起こすのもかわいそうだし」
「一人でお出かけするかなぁ」
「あとでラッキーに見せてあげようっと」
朝ごはんを食べてお着替えして、アリスは元気いっぱいに出かけていきました。
その数分後にラッキーがのそのそと起き上がりました。
「ん…あれ」
「アリスは…?」
何かメモ書きが置いてあります。
『すぐ帰るから、待っててね!!』
するとラッキーのお腹が鳴りました。
朝ごはんの準備なんてしてあるわけありません。
「…私はどうしたらいいのかしら」
「ま、どうせすぐ戻って来るだろうし」
「…」
ラッキーはまた眠りにつきました。
アリスが居たら『やっぱりねこは寝るのが好きなんだね!!』と言われそうです。
一方のアリスは近所の公園をうろうろしていました。
「…」
一人で外にいるのが不安なのが伝わってきます。
「もう、ラッキーも来てほしかったのに」
「悪い人が来たらさらわれちゃうよ?」
「そしたら助けに来てくれるもんね、ラッキーはお利口さんだもんね」
ぶつぶつと独り言を言いながら被写体を探しています。
来てくれるはずだった被写体が居ないので困っているようです。

「んー、どうしようかなあ」
「何も撮らないのもなあ…うさぎさんとか出てこないかなあ」
しばらく歩いていると、遠くに人影が見えるのに気づきました。
大人の女性のように見えます。
「あの人何してるんだろう?」
女性がアリスに気づいたのか、こちらに歩いてきました。
「わ、こっちに来た…どうしようどうしよう」
「ラッキー…は居ないんだった」
「もう、帰ったら怒らないと!!」
優しそうな女性が話しかけてきました。
「こんにちは、何してるのか気になって」
「こ…こんにちは」
「うふふ、悪い人じゃないから安心してよ」
「…」
アリスの頭は「ラッキーたすけて…」の文字でいっぱいです。
「あ、そのカメラ」
「何か良いもの撮れたのかな」
「いや…まだ何も…」
「そうなの?こんなにいいお天気なのに」
「…うん」
女性がしばらく考えてから言いました。
「あ、そうだ」
「私がね、あなたの写真撮ってあげようか?」
「え?」
「嫌だったら良いけど…どうする?」
普段写真なんて撮ってもらわないので、内心アリスは嬉しく思いました。
「いいんですか?」
「もちろん、ちょっと貸してね」
「…あそこがいいかな?」
アリスを木陰に立たせると、女性がカメラを構えました。
「はい、撮りまーす」
「1たす1は?」
「に…です」
「くすっ、『に』だけでいいのに」
その後ちょっとお話してから二人は別れました。
アリスが帰るとラッキーは起きていました。
「ラッキーただいま!!」
「遅くなっちゃったね、ごめんね」
「…朝ごはんはまだかしら」
「それよりね、さっきね、公園でね」
先程の出来事をとても嬉しそうに話し始めました。
あれほど緊張していたのが嘘のようです。
「その人他に何か言ってたのかしら」
「可愛いね、って言ってたよ」
「ふーん」
「あ!うらやましいんだ!」
「そんなこと無いわ、良かったわね」
「うらやましいんでしょ、ラッキーも来れば良かったのにな~」
「…べつに」
「うんうん、うらやましいんだよね~」
いつものように適当に相手をしているとラッキーのお腹が鳴りました。
「あの」
「朝ごはんはまだかしら」
「あ、そうだったね…ごめんごめん」
「…いいわね、あなたは」
「?」
ラッキーがぼそっと呟きました。
羨ましかったのでしょうか。
後日、撮った写真を印刷してもらいました。
二人は仲良くベッドに転がって写真を見ています。

「…ちょっと!なんでこんなの撮ってるのよ!」
「え~、いいじゃん」
ラッキーが寝ている写真が何枚も写っています。
ラッキーが水を飲んでいる写真も、ラッキーがひなたぼっこしている写真もあります。
よほどラッキーのことが好きなようです。
どの写真も、ちょっと指が写っていたりボケていますがアリスにはそんなのお構いなしです。
「私が人間だったら、あなたの寝顔を撮りたかったわ」
「だめだよ、女の子の寝顔を勝手に撮ったら」
「…」
最後の一枚はアリスが公園で撮ってもらった写真でした。
緊張しすぎて変な顔になっています。
「くすっ、すごい顔ね」
「あ!ひどい!」
「アリスがこんな顔してるの見たこと無いわ」
「だってラッキーが来てくれないんだもん!!」
「ふふ…でもいい写真ね」
「今度はラッキーの写真撮ってあげるからね、一緒に来てよね」
「そうね、楽しみにしておくわ」
嬉しそうなアリスを見て、ラッキーが微笑みました。
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