無題3

※本作文は2020年7月1日の日記に記録されていたものです。
面白かったのでブログに載せておきます。

草の茂る土手に寝転がる。
誰も見てないし。
ちょうどここが影になってて涼しい。
「あーあ、何か良いことが起きないかな」
雲ひとつ無い青空。
いや……ひとつだけあった。
ひとりぼっちで寂しそうな雲。
今日は風が無いから、とてもゆっくり進んでいる。
どこに向かうのだろう。
あの山を超えて、隣町まで行くのかな。

「あーあ!」
唐突に、そう叫びたくなった。
がばっと起き上がる。
あたりを見回しても、やっぱり自分しかいない。
ふと、一輪の花が目についた。
「ごめんね」
心のなかでそうつぶやいて、花をぷちっと切り取った。
白い花びらが5枚、可憐な様子で並んでいる。
名前も知らない、きれいな花。
誰に見てもらおうとも思わず、ここに生まれて育ったらしい。
それを今この瞬間、殺しちゃったんだけども。
「……ごめんね」

1枚だけ花びらが小さいのに気づいた。
小さいながらも、他の花びらと同じく透けるような白をしている。
「君は、強いね」
「私は、弱いよ」
自分でも意味がわからないことをいいつつ、その花をそっと川に流した。

花は摘まれた瞬間に死んじゃうんだよね。
じゃあ、お葬式でたくさんのお花を供える理由は何?
死んだ人に、死んだものを供えるの?
理解できないな。

何も変わらない日々に飽き飽きしているのかもしれないな。
何か、大事件が起きないかな、なーんて不謹慎なことを思ったり。
明日世界が滅亡します!って言われたら何をするんだろう。
「思いつかないや」

ここにいることに突然飽きたので、立ち上がって帰る準備をする。
スカートに草がひっついているのを払って、自転車のほうへ向かう。
さっき流した花は、今どこらへんまで進んだんだろう。
どうでもいいや。
帰って……何をしよう……。
することが無い。
帰るのが億劫に思える。
でも、家は私の居場所。
居場所のある幸せ、大切にしたほうがいいよ?
あと親孝行もね。

自転車に乗る。
そろそろ空気入れなきゃな。
たまには拭いてあげようかな。
もう買ってから1年、か。
そんなことを思いながら、走り出した。
どこか遠くで子供の声が聞こえた。